学苑社

特別支援教育・福祉・心理の本

言語発達ってみんな同じ?

言語発達ってみんな同じ? 言語発達ってみんな同じ?
言語獲得の多様性を考える

C・M・ショアー著
佃 一郎監訳 岩田光児・岩田まな訳
四六判/並製 2000 円+税
ISBN:978-4-7614-0723-0



言語発達は単語から始まり、単語と単語がつなぎ合わさって電文体になっていく、といったこれまでの言語発達の常識をくつがえす、日本初の書。

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●著者・訳者紹介(初版時)
[著者について]
 Cecilia Shoreはオハイオ州オックスフォードにあるマイアミ大学の心理学准教授(訳注:現在は同大学教授)である。彼女はカンサス大学で学士号、コロラド大学ボルダー校でPh.D.を1981年に取得した。研究領域は乳幼児の認知発達と言語発達で、特にことばと遊びとの関係を研究している。最近の研究は養育者が子どもへの話しかけの影響と言語の個人差に焦点を当てたものである。その他に、概念および意味の発達と原因事象の記憶を研究している。

[訳者紹介]
佃 一郎(監訳)
新潟リハビリテーション大学院大学教授、医学博士。
1956年、明治学院大学文学部社会学科卒業、カンサス州ウィチタ大学大学院言語病理学課程留学。東京大学耳鼻咽喉科研究生、大阪府立身体障害者更正指導所、東京都心身障害者福祉センター、甲州中央病院、埼玉医科大学を経て現在に至る。
著書:パーキンスW.H.『言語病理学』(共訳)医歯薬出版1979、オニールJ.J.『聴力障害(難聴)』(訳)日本文化科学社1968、メジボブG.B. 他著『自閉症の理解』(監訳)学苑社1999。

岩田光児(訳)
新潟リハビリテーション専門学校言語聴覚学科専任教員。
上智大学外国語学部卒業。新潟リハビリテーション大学院大学を経て現在に至る。専門は心理言語学。

岩田まな(訳)
新潟リハビリテーション大学院大学教授、医学博士。
東京学芸大学教育学部特殊教育学科卒業、東京教育大学大学院修了。教育学修士。
伊豆韮山温泉病院、東京学芸大学非常勤講師、東京女子医科大学神経内科、埼玉医科大学を経て現在に至る。
著書:小川 仁 編『子どものコミュニケーション障害』(共著)学苑社1995、メジボブG.B. 他著『自閉症の理解』(訳)学苑社1999。

●目次
第1章 言語発達の仕方が子どもによって違うということの重要性 
1 個人差に関する言語発達理論 
(1)経験主義/(2)生得説/(3)生得説に対する挑戦/(4)子どもが世界とやりとりすること/(5)子どもの発話の性質:モジュール/(6)子どもの言語学習の個人差はモジュールとどのように関連しているか/(7)この本のプラン

第2章 個人差の性質 
1 古典的なケース 
2 この違いをどう考えるか 
3 語彙の発達 
(1)初期の表出語彙のタイプ/(2)理解語彙と表出語彙の類似点/(3)語彙獲得の速さの違い /(4)要約と推論
4 初期の文法発達
(1)名詞型 対 代名詞型/(2)紋切り型の表現/(3)ダミー語と反復/(4)開放語 対 電文体/(5)語順規則の一貫性/(6)語尾変化と文法的形態論/(7)要約と推論
5 音韻発達
(1)音韻発達の流れ/(2)プロソディ 対 音韻分析と明瞭度/(3)音韻学習のスタイル /(4)音韻システムの発達に関する区分アプローチと単純化アプローチ/(5)要約と推論
6 語用の発達 
(1)情報型 対 対人型/(2)会話/コンテクストへ/(3)形と機能は一致しているか/(4)表出型の子どもはより社会的か/(5)要約と推論
7 これからの研究 
8 より詳しく知るために 

第3章 言語発達にはスタイルがあるか 
1 強みと弱み 
2 一般的パターン:関連した傾向 
3 言語スタイルの持続性
(1)各自のスタイルから語連鎖へ、さらに文法に則った文の産生へ/(2)多数の子どもを比較した横断研究と個別的縦断研究/(3)発達のスタイルの収束/(4)言語獲得の初期段階から発達のスタイルはずっと変わらないのか/(5)状況の違いにおける発話スタイルの一貫性/(6)第二言語を習得する子どもたち/(7)要約と推論
4 一般的発達レベルとの関係 
(1)語彙/(2)構文/(3)知能/(4)要約と推論
5 言語のスタイルというものは存在するか 

第4章 言語発達における個人差に関する説明
1 一般的環境についての説明
(1)性、生まれた順序、社会経済的地位/(2)性、生まれた順序/(3)社会経済的地位/(4)その他の特徴/(5)環境要因に関する論評
2 社会環境に関する説明 
(1)入力情報の種類/(2)両親の反応性 対 指示性/(3)両親—子どもの関係が物に向かっているか社会に向かっているか/(4)社会モデルに関する論評/(5)誰が誰に影響を与えているのか/(6)観察するときの状況/(7)その他の問題
3 Nelsonの認知—社会交渉モデル
(1)親が子どもに話すことには文脈が関係しているか/(2)形と機能は一致するか/(3)子どもは聞いたことばを違う方法で使うか/(4)Nelsonのモデルに対する論評
4 内的認知機能による説明
(1)象徴化への方向づけ/(2)パターン化と演劇化/(3)象徴遊びに見られる分析型アプローチと全体型アプローチ/(4)感覚運動発達における分析型 対 全体型という見方/(5)分析型 対 全体型のプロセス/(6)内的認知モデルに対する論評
5 子どもの内面について
(1)模倣傾向/(2)模倣傾向に対する論評/(3)物/人に向かう傾向と本来の意欲/(4)気質/(5)内的傾向と気質モデルに対する論評
6 言語に特化した内的説明
(1)言語獲得のスタイルに関する生物学的/遺伝的土台
7 言語システムを含んだ説明
(1)言語のアスペクト間の分離/(2)言語入力に対する敏感性の違い/(3)神経学的説明 /(4)言語に特化した内的仮説に対する論評
8 なぜ子どもによって言語獲得方法が違うのか 

第5章 結論と将来の方向性
1 われわれはどこにいるのか 
(1)言語スタイルの違いの要約/(2)言語発達にスタイルの違いはあるか/(3)なぜ子どもたちはそれぞれ違った方法で言語を獲得するのか 
2 ここからどこへ進んでいくのか
(1)言語の個人差についての研究/(2)文化と言語を越えた普遍性の可能性/(3)子どもによって言語の獲得方法が違う理由/(4)年長児の個人差を調べた研究/(5)介入の影響 
3 言語発達理論と個人差の関係に関する今後の方向
4 生態学的理論
5 カオス理論
(1)システムに対する非線形的な影響/(2)平衡、安定、観念論的終結状態/(3)様々な影響力に対する反応:変化パターンの原因となるもの/(4)初期値による鋭敏性
6 並列分散処理(PDP:Parallel Distributed Processing)かコネクショニズムか
(1)コネクショニズムでいうネットワークとは/(2)象徴機能がなくても言語は発達するか/(3)コネクショニズムは個別性をどのように捉えているか
7 生態学、カオス理論、コネクショニズムのテーマと個別性への応用
8 個人差が言語発達のメカニズムについて何を教えてくれるか
9 理論的説明:モジュール理論と生得説
(1)普遍化への推測/(2)領域特異性への推論
10 代案となる理論へ

訳者あとがき
文献
索引

●帯より
言語発達の常識を覆す!
言語発達は単語から始まり、単語と単語がつなぎ合わさって電文体になっていく、といったこれまでの言語発達の常識をくつがえす、日本初の書。幼児は、これまで考えられてきたような一律の方法で言語を獲得していくわけではない。子どもによっていろいろな言語獲得ストラテジーがあるということを、種々の研究から立証し、なぜ言語発達にさまざまな方略があるのかについても解説したShore博士の著書を訳したのが本書である。
言語発達が画一的だと考える方がむしろおかしいということを本書は明らかにしてくれる。言語聴覚士、教育者、保育者にとって目の覚めるような内容の本である。