学苑社

特別支援教育・福祉・心理の本

感覚と運動の高次化による発達臨床の実際

感覚と運動の高次化による発達臨床の実際障害児の発達臨床2
感覚と運動の高次化による発達臨床の実際

宇佐川浩 著
A5判/上製 2800円+税
ISBN:978-4-7614-0705-6



発達臨床の問題や自閉症児・軽度発達障害児に対する感覚と運動の高次化アプローチからみた支援と臨床論、教材・教具論などを解説。

●著者紹介(初版時)
1947 年生まれ。
上智大学文学部、同大学院において、霜山徳爾先生のもとで臨床心理学をまなぶ。現職: 淑徳大学総合福祉学部教授、淑徳大学発達臨床研究センター長。専攻: 発達臨床心理学、ことばとコミュニケーションの臨床、音楽療法、障害の重い子どもの療育臨床など。(臨床発達心理士・認定音楽療法士・臨床心理士)
35 年間にわたって一貫して幼児期、学童前期の発達臨床と研究に携わってきた。その中心は淑徳大学発達臨床研究センターにおける実践と研究であり、独自に開発した感覚と運動の高次化アプローチを全国に向けて発信している。あわせて養護学校、発達支援センター、保育所などでのコンサルテーション活動も行っている。
主要著書・ビデオ:『感覚と運動の初期発達と療育』全国心身障害児福祉財団(1986).『感覚と運動の高次化と自我発達』全国心身障害児福祉財団(1989).『障害児の発達臨床とその課題』学苑社(1998).『障害児の発達支援と発達臨床』全国心身障害児福祉財団(2001).『障害をもつ子どもの発達臨床1巻・2巻』(ビデオ)、ジエムコ出版(1994).『ことばの遅れと療育1巻・2巻』(ビデオ)、ジエムコ出版(1999).

●目次
第3部 発達臨床の実際
第12章 認知を育てる発達臨床
 1 認知を育てる視点の希薄さ
 2 生活を支える認知発達の五つの役割
 3 初期の認知発達を妨げる要因
 4 認知を育てるために
 5 認知発達臨床のプロセス

第13章 拒否と自己像を育てる発達臨床
 1 自己への気づきとしての身体の気づき
 2 身体自己の意識化
 3 姿勢と身体の志向性
 4 向き合う姿勢─枠組みのあるほうが人と向かいやすい─
 5 好き嫌いの拒否、選択的拒否の拡大
 6 他者と合わせる面白さの経験
 7 からかいの拒否
 8 模倣の活発化と三項関係の成立
 9 みられる恥ずかしさ
10 共有する世界を拡げ、相互的関係を深める
11 自我強調の拒否
12 自己調節力と他児との協同化
13 劣等感の芽生えと二次的適応障害
14 自己像発達の補綴─感覚と身体の意識化の関連─
15 自己像の育ちのまとめ

第14章 情緒を育てる発達臨床
 1 内に向かう情動と外に向かう情動という枠組み
 2 対人・対物志向性と内と外に向かう情動
 3 情緒不安の発達的要因とその臨床支援

第15章 模倣を育てる発達臨床
 1 模倣の分類
 2 模倣の育ちを支える要因
 3 模倣能力の育ちが生活におよぼす影響
 4 障害児にみられる模倣の発達段階
 5 姿勢・運動と模倣の内容
 6 運動方向からみた模倣の内容
 7 模倣を育てる環境
 8 模倣の発達臨床的要因のまとめ

第16章 自閉症児の発達臨床
 1 自閉性障害の変遷と捉え方
 2 臨床像からみた理解と支援の難しさ
 3 感覚と運動の高次化からみた自閉性障害とその支援
 4 幼児期と学童前期の自閉性障害児の発達過程

第17章 軽度発達障害児の発達臨床
 1 臨床支援の難しさ
 2 発達臨床からみた軽度発達障害児理解の視点
 3 発達臨床からみた発達障害の位置づけ
 4 発達領域を関連づけて捉える視点
 5 軽度発達障害児にみられる感覚・知覚入力の問題
 6 軽度発達障害児にみられる姿勢・運動・発声面での問題と支援
 7 軽度発達障害児にみられる認知・言語のつまずきと支援
 8 軽度発達障害児にみられる自己像のつまずきと支援
 9 軽度発達障害児にみられる情緒発達のつまずきと支援
10 軽度発達障害児の支援方略のまとめ

第18章 発達臨床における個別と集団アプローチ
 1 個別アプローチの機能
 2 個別アプローチで問題となりやすい点
 3 集団アプローチの機能
 4 集団アプローチで問題になりやすい点
 5 ソーシャルスキルを育てるための集団活動
 6 活動への環境的な配慮事項

第19章 発達臨床における教材・教具の意義と活用
 1 感覚教具との出会い
 2 発達臨床における教具の果たす役割
 3 教具の応答性
 4 教具の質的ステップと量的ステップ
 5 教え方のステップと教具のステップとの関連
 6 教材・教具の意義と到達点

第20章 音楽療法による発達臨床
 1 子どもを対象とした音楽療法の特色
 2 発達臨床における音楽療法の機能と役割
 3 音楽療法を支える要因とその留意点
 4 発達の層からみた音楽療法のアクティヴィティの検討
 5 感覚と運動の高次化からみた音楽療法

第21章 コミュニケーションとことばを育てる発達臨床
 1 コミュニケーションを育てる発達臨床
 2 ことばの遅れを支える発達的要因
 3 ことばの遅れの認知発達プロセス
 4 発達に応じた伝達手段の活用

第22章 家族へのサポートを考える
 1 家族へのサポートとは
 2 家族サポートの留意点

第4部 発達臨床類型からみた支援
第23章 感覚と運動の高次化からみた発達臨床類型
 1 発達臨床類型的視点の枠組み
 2 発達水準からみた臨床類型とその支援
 3 感覚の優位性としての発達臨床類型とその支援
 4 感覚の過敏性にかかわる発達臨床類型とその支援
 5 知覚の優位性にかかわる発達臨床類型とその支援
   ─細部知覚と全体知覚の処理様式のバランス─
 6 関係性の発達臨床類型とその支援
   ─自己像・関係性と認知発達とのバランス─
 7 情動系の発達臨床類型とその支援
 8 表出系の発達臨床類型とその支援
   ─入力系と表出系のバランス─
 9 パターン化の発達臨床類型

第24章 発達の層からみた臨床類型整理チャート
 1 第1層にみられやすい発達臨床類型の整理チャート
 2 第2層にみられやすい発達臨床類型の整理チャート
 3 第3層にみられやすい発達臨床類型の整理チャート
 4 第4層にみられやすい発達臨床類型の整理チャート
 5 発達臨床類型からみた支援のまとめ

第25章 臨床類型的視点による療育経過の分析
 1 初期段階(第1層)からスタートした重度発達遅滞児の療育経過
 2 知覚レベル(第2層)にいる中度発達遅滞児の療育経過
 3 第3層・第4層にいる軽度発達遅滞児の療育経過
 4 事例検討の結果のまとめ

付録 感覚と運動の高次化による発達臨床の要約
 1 全体の要約
 2 各発達の層の要約
 3 認知の発達プロセスの要約

あとがき
文献
索引

●パンフレットより
発達のつまずきの意味を理解する
著者が長年展開してきた感覚と運動の高次化アプローチをもとに、多様な発達臨床領域の実際的問題について論及している。認知、自己像、情緒、模倣、コミュニケーションとことばといった基礎的な発達を支える発達臨床の問題や、自閉症児ならびに軽度発達障害児に対する感覚と運動の高次化アプローチからみた支援と臨床論、さらに教材・教具論、個別・集団臨床論、音楽療法、家族支援といった実際上の枠組みも、包括的に検討してある。最後につまずきを示す子どもの発達臨床類型と支援のあり方についても、長期の研究成果をもとに、新たな提案がなされている。